演目紹介

能楽とは

わが国の伝統芸能である能と狂言は、14世紀・室町時代初期に成立したもので、両者は合せて「能楽」(のうがく)という名称で呼ばれています。

能は、「幽玄」(ゆうげん)という言葉で表される優雅で柔和、典麗な美的情趣に彩られた象徴劇です。歴史や古典文学に取材して歌(うた)と舞(まい)を中心に構成され、主役である演者が優れた造形美を有する能面をかけて演じる点に特色があります。事件ではなく人間の運命を描くことを主題とし、簡素な舞台上で凝縮された様式性の高い演技が展開され、その劇世界は「井筒」のような夢幻能に典型的に表現されています。その舞台に接する時、他の舞台芸術とは異なる不思議な感動を覚えるはずです。

狂言は「笑い」を基調とした対話劇です。能とは対照的に中世庶民社会の日常や民間説話を素材として、普遍的な人間像を写実的に描き出しています。典型的な登場人物である太郎冠者が繰り広げる洗練された骨太の芸は、和やかな楽しい笑いをもたらしてくれます。

能と狂言は当初から同じ舞台で交互に演じられてきました。象徴的な理想美を追求する能とユーモアを写実的に表現する狂言は、人間性の本質を表現するにあたって、相互に補完的な役割を担って今日まで伝承されてきました。近年、能楽は、舞台芸術として国内外で高い評価を得ており、2001年にはユネスコの世界無形遺産(*)の一つに選ばれています。
*国際連合教育科学文化機関(UNESCO;ユネスコ)が世界の貴重な無形遺産を「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」として発表し、指定したもの。

手話狂言とは

狂言のセリフは室町時代から江戸時代までの古いことばです。日本ろう者劇団は和泉流狂言師三宅右近師の指導により、昔から継承された狂言特有の動き、運びをそのままに、手話表現の研究を重ね、古典芸能にふさわしい手話狂言を作ることにつとめました。手話のセリフと声のタイミングや間の取り方にも工夫を重ね、古典芸能の強靭さと手話の豊かな表現力をあわせもつ、手話狂言が誕生したのです。
台詞を手話及び声で表情豊かに表現しますので、聞こえる人も聞こえない人も共に楽しむことができます。

日本ろう者劇団の演目について

サインマイム

サインマイムとは

サインマイムは、サイン(手話)とパントマイムの特徴を合わせてつくり出された表現方法です。ただ、言語的意味を持つ手話と異なり、指、手、腕、そして表情を交え、情景や心理まで描写します。たとえば、ある対象をロング・ショットとクローズ・アップの表現を使って遠近感や奥行きのある動きを描写するなど、まるで映画のように物語を作り上げます。

サインマイム演目 出演者: 井崎哲也(1名~BGM付き~)

「一生」 (所要 10分)
命の誕生とともに人はさまざまな人生を歩みます。
喜びや悲しみ、驚きなど微妙な心の経過を、手と身体で美しく描写します。
「ゴルフ」 (所要 10分)
痛がりのゴルフボールと初心者のゴルファーが登場するショートストーリーです。
「CGマイム」 (所要 10分)
サインマイムにCG(コンピューターグラフィック)の要素を取り入れたもので、映画をみているようです。(「007」「もも太郎」など)

あなたの街に呼んで下さい

あなたの街で公演しませんか? 全国津々浦々、どこへでも参ります。

1.視覚演劇

以下の作品があります。どれか1作品上演となります
演目例 内    容 人数
所要時間
カスパー 1828年、バイエルン王国にカスパー・ハウザーという奇妙な少年が出現した。この少年は生まれてから16歳になるまで、どこかの地下牢にとじこめられて育ったらしい。この少年は言葉というものを持たなかった。この少年が忽然と地上に現れたとき・・・。 10名~
90分

2.手話狂言

所要時間 約1時間30分
手話による解説+2演目
以下は例です。ほかにもご要望に応じますので、お気軽にお問合せ下さい。
会場はどんなところでも可能です。簡易能舞台を設営しますので雰囲気をお楽しみいただけます。
演目例 内    容 人数
所要時間
梟山伏
(ふくろうやまぶし)
山から帰った弟の太郎は、物(もの)の怪(け)がついて意識不明の様子です。兄は、かねて知合いの山伏に、祈祷を頼みに行きますが・・・ 3名
10分
附子
(ぶす)
用事で外出する主人が、太郎冠者と次郎冠者に留守番を言いつけます。そして桶をさし出し、この中に附子(毒)があるから気をつけろと言いおきます。ところが・・・。 3名
20分
六地蔵
(ろくじぞう)
田舎に住む男が、地蔵堂を新築したので、そこに六体のお地蔵様を据えようと思い、都へ上って、仏師(仏像を刻み作る人)を探して回ります。このようすを見た都のスッパ(詐欺師)が・・・。 5名
25分
トップページ